何故、目を見つめるのか。

前回に続いて、何故それするの?シリーズ。

今回は『何故、目を見つめるのか。』

これも意外と多い。
これに関しては飼い主さんと愛犬といったペアであればそこまで問題はない。
よっぽど睨みを効かせて見つめ続けたり、無意味やたらに見つめているので
なければ。
もしくは飼い主さんと愛のペアでなくとも、トレーニングとしてアイコンタクトを
教えているのであれば問題ではない。
教え方によるかもしれないが。

僕は犬の学校をやっているので、日中店舗内にはたくさんのワンコが
遊んだり、ウロウロしている。
そこにお客さんがやってきて、中にいるワンコの目をじっと見つめることがある。
今回、何故それするの?といった問題はこのように第3者が知らないワンコを
ジーっと見つめるような状況だ。

お客さんが来てくれるのはとても嬉しい事なのだが、このように他人に見つめられる
という状況は犬にとっては好ましい状況ではない。
そのようなことはお構いなしに、お客さんは犬の目を見つめ続ける。

そうしてしまうお客さんの気持ちが分からないわけではない。
犬の目というのはとてもつぶらで頭のサイズに対してとても大きく出来ている。
そのような様子は人間の赤ちゃんを思わせる。

赤ちゃんのような様子や特徴を見せられると、お世話したい、可愛がりたい
といった衝動に駆られる人は多い。
その衝動から、犬の目をじっと見つめてしまうのだろう。

よって、その時の人の感情というものは、赤ちゃんを微笑ましく見つめている時の
ように、とても幸せな感情に包まれている。
しかし、残念なお知らせだ。
その時の犬の感情は正反対である。

人にとても友好的な性格であればまだ良いが、人が苦手な犬にとっては
この上ないストレスになる。
そもそも、人間同士だってそんなことはしない。

会話をしたりコミュニケーションを取るような機会になって初めて相手と目を
合わせる。
知り合いという関係性が出来ていくことで目を見る機会も増えていく。

会話もせず、コミュニケーションも取らず、知り合いでもない人の目を
見続けるだろうか。
そんなことを続けていれば、そのうち『なに、ガン飛ばしとんねんむかっ
とでも言われてしまうだろう。
まるでチンピラだ。

要するに、知らない人に目をジーッと見つめられている時、犬はそのように
感じているということ。
チンピラと思われないように気を付けよう。

 

 

何故、頭を撫でるのか。

犬の撫で方。

是非、小学校の授業などにもカリキュラムの一つとして組み込んでほしい。
そう思ってしまうくらい、いきなり頭を撫でようと手を出す人が多い。

その時、犬はたいてい不安な表情を浮かべる。
が、そんなことはお構いなしに頭に手が近づいてくる。
そりゃ、怖いだろう。

白亜紀、恐竜が栄えていたといわれる頃、そんな時代に生きていたとしよう。
恐竜が僕に手を伸ばしてくる。
恐竜には敵意がないことなど僕には分からない。
だが、お構いなしに恐竜の手が僕の頭上に伸びてくる。

僕は目をつぶってひたすら耐える。
もし、狩りをするための槍などを持っていたならば、伸びてくる恐竜の手をその槍で突き刺すかもしれない。

それが犬にとっての噛むということ。

恐怖や不安というものは一線を超えると、攻撃の対象になる。
それは自分を守るために他ならない。

さっきも書いたように、いきなり頭を撫でられようとしている犬は不安の表情を浮かべる。
その不安がおさえられなくなったとき、犬は噛みつくという選択肢を選ぶことを知っておいて欲しい。
そして、その選択肢を選ばせてしまった自分にも非があるということを。

しかし、人は噛まれて初めて気付く。
そうなってしまうと双方、良い気分ではいられない。
そうならないためにも、事前にそれくらいのことは知っておきたい。

さて、そのようなトラブルの多くは散歩中や犬連れでの旅行中など、他人に触られそうな時である。
飼い主などの家族や信頼している人に頭を撫でられるときには、そこまで不安の表情は浮かべない。

だからといって頭を撫でられることが好きなわけではない。
どちらかといえば嫌いな子の方が多いだろう。
だからこそ私達も、あまり頭を撫でまわさないように気を付けてあげたい。

もちろん例外もいる。
触られることが大好きでたまらないタイプもいる。
そのタイプであれば好きなだけ撫でまわせば良いだろう(笑)

 

 

質の高い散歩

質の高い散歩。

 

僕も含め、トレーナーはこういった言葉をよく使う。

では、質の高い散歩ってどんな散歩だろう。。。

 

一般的に多くの方は、家の近所を散歩することが多いと思う。

平日なら尚更だし、もちろんそれが悪いわけではない。

僕だって、近所を散歩することは多々ありますし。

 

でも、質の高い散歩を考えたときには、それだけでは物足りない。

何故なら、人工的なコンクリートの上をたんたんと歩いたところで、犬の

散歩への満足度は高いとは言えないから。

 

もちろん都会と田舎とではコンクリード道路なども含め、周りの環境は

変わってくるので、一概には言えないけど、都市部へ行けば行くほど、

そのような物足りない環境になるんじゃないかな。

 

このような内容からも分かるように、僕が思う質の高い散歩というのは

周りの環境に大きく影響される。

では、どのような環境が良いの!?

 

僕は良く飼い主さんに伝える時、

質の高い散歩=森の中を自由にさせるイメージと伝える。

 

周りは木々で溢れ、夏でも木陰で覆われて涼しい。

地面はもちろんコンクリではなくフカフカとした土が敷かれ、落ち葉や

小枝がたくさん落ちていたり、草などが生い茂っている。

整備されたような平坦な道ではなく、駆け上ったり、駆け下りたりするような

アップダウンの道が続く。

野生の動物や鳥、虫がたくさんいるような大自然を想像して欲しい。

 

そんな大自然の森の中を、好きなだけ匂いを嗅いだり、気になる物が

あれば木枝でもなんでも咥えてみたり、フカフカの土を掘ってみたり、

落ち葉の上でゴロゴロ転がってみたり、好きな場所にマーキングしたり、

険しい道を走ったりと。

 

そのような環境で、そのようなで行動をさせてあげることが質の高い散歩を

する上で欠かせないものじゃないかなって思う。

そのような環境に連れて行くのは、容易ではないかもしれないけど、

出来る限り、そのような場所を見つけ、連れて行ってあげて欲しい。

 

もう一つ。質の高い散歩をする上で大切なことがある。

それは散歩している時の犬自身の状態だ。

 

考えてみれば分かるけれど、恐怖や不安でいっぱいの時にそんな環境に

連れて行っても、質が高くなるわけでは無い。

また、逆に嬉し過ぎて、テンションが上がり、リードをグイグイ引っ張るほど、

興奮している状態も、良い効果は得られない。

 

もちろん、楽しく散歩してくれていることは大切なのだが、犬自身が

落ち着いた状態で匂い嗅ぎを楽しんだり、気になる物を咥えてみたり、

小走りしたりと。

そのような落ち着いた精神状態の中で、そのような自然いっぱいの環境で、

そのような行動をさせてあげる。

 

これが、僕の思う質の高い散歩である。