犬の専門職 1

ここまで、自分が働いたペットショップ事情や飼い主様がペットショップの店員に言われたことなど数回に渡って書いてきたわけですが。
このようなことは巷には溢れているわけです。

それもこれも、専門外のことを軽はずみに口にするからではないだろうか。
以前も書いたようにペットショップの生体販売員は『犬』のプロではない。
(以前のブログは下記から)
http://ameblo.jp/minakuru-1/entry-12019096170.html

犬のプロではない…要するに専門職でもないのに、犬の飼い方について軽はずみなことを口にしたり、犬の問題行動について不適切なアドバイスをする。
だから問題が起こる。

では、犬の専門職ってどんな人たち?

一般の飼い主さんが一番最初に思い浮かべるのは獣医かな?
そして、トリマーやドッグトレーナー、ブリーダーなどだろう。
他にも幾つかあるのだが、今回は置いておく。

さて、上に挙げた方達は『犬』の専門職と言っていいだろう。
だが、更に細分化されている。
例えば獣医は獣医学の専門職。
トレーナーは行動学の専門職といった具合に。

なので大抵の場合、獣医からすれば行動学は専門外だし、トレーナーからすれば美容などは専門外になる。
それなのに、ここでも専門外のことを軽はずみに口にしてしまうことがある。

今回これを書いたのはここにつなげたかったから。
先日、新しいワンちゃんがようちえんに入園してくれた。
そのワンちゃんはボーダーコリー。

まあ、素人向きではない犬です(笑)
先ほど上に挙げた『犬』の専門職の方達も、素人向きではないということには同じ意見じゃないかな。

飼い主さんが、そのボーダーコリーを病院に連れて行った時に獣医に言われたという一言に度肝をぬかれた。
『鼻を思いっきり噛んで服従させなさい』

…。
多分その獣医もボーダーコリーは大変だと思ったのだろう。
だけど、このアドバイスはトレーナーの観点からすると考えられない。
一昔前であれば受け入れられたのかもしれないが、今ではありえない。
関係を悪化させる可能性を十分に秘めたアドバイスだ。

やはり専門外のことを軽はずみに口にしてはいけない。
こういったことは犬の世界だけじゃないんだろうけど。

 

 

僕の働いていたペットショップ事情 4

驚くことはまだあります。
これもペットショップで売られていた、子犬や子猫に関係することです。

犬を飼われている方は子犬に混合ワクチンを打つことはご存じでしょう。
この混合ワクチンですが生後1ヶ月毎に2回もしくは3回程接種します。

病院によって2回と言うところ、または3回と言うところ…
成犬になってからは1年に1回というところ、またそうではないところ…
ワクチンにも諸説いろいろありますが書きだすと止まらなくなってしまいそうなので、それについてはここでは触れずに…。

さて、このワクチンですが獣医さんに打ってもらうのが一般的だと思います。
当時ペットショップで働き始めた僕も、そう思っていました。

しかし僕の働いていたペットショップでは店長(オーナー)がワクチンを打っていたのです。
ちなみに獣医師免許は持っていません。
ただ、これも当たり前におこなわれていたもので、当時の僕は『あっ、別に店長がワクチン打ってもいいんだー』ぐらいにしか思っていませんでした。

その当時は周りのペットショップでもそういった話を聞いたことがあります。
また、その店長が修行していたというペットショップでもそれが当たり前におこなわれていたようです。
だからこそ、店長はそれを自分の店でもおこなっていたのでしょうし、ワクチンの入手の仕方も知っていたのでしょう。

そして、僕の中ではそれが当然のことに…。

日々、動物愛護に関する法律や獣医師法、薬事法なども改正されていきます。

しばらく経って、獣医師でなければワクチンは打ってはいけないという話を小耳にはさみ、法律が変わったのかな?ぐらいに思っていました。
それまで、店長が打っていいものだと思っていましたから。

今回こういった記事を書くにあたって、いろいろと調べたりもしました。

動物愛護のセンターに問い合わせをしたり、そういったワクチンなどの薬に関係してくる薬事課、薬務課などに問い合わせをしました。

僕の質問はこんな感じです。
『以前ペットショップで働いていたとき、そこのオーナーが販売犬にワクチンを自ら打っていたんですけど、いつから獣医師が打たないとダメになったんですか?』

そしたら、こんな回答です。
『それはずっと以前からダメなことです。獣医師法で制定されています。』

驚きました。
自分が目の当たりにしていたことが違法なことでしたから。

厳密にいうと、ワクチンだけでなく注射器を使って飼い犬以外に注射をするのが違法だということでした。
飼い犬に注射する場合でも獣医師の指示のもと、許可を得てから打つ必要があるとのことです。
まあ、そんなケースは一般的に多くはないでしょうが。
そして、ペットショップで販売している犬は店長(オーナー)の飼い犬には当たらないということでした。
なので、獣医師でもない店長が自ら販売している子犬達にワクチンを打つというのは違法だったのです。

一部のペットショップではこんな恐ろしい事を日常的に行っていたのだと、この記事を書きながら感じています。

 

 

僕の働いていたペットショップ事情 3

ガラスのショーケースに入った商品達。
その裏で、実はショーケースにすら入っていない商品があることをご存知ですか。

すぐに想像つくと思いますが、ショーケースの商品が売れたらすぐに補充できるように商品をストックしておくわけです。
ただ、これに関しては全てのペットショップがそういうわけではありません。
商品が売れてから新しい商品を仕入れるペットショップもあります。

前者は本当に最悪です。
僕の働いていたペットショップはまさにそうで、それにはさすがに不信感を抱いたのを覚えています。

ショップに入るとすぐ右手にショーケースが並んでいるお店でした。
3段6列ぐらいのショーケースでしたから20頭ぐらいの子犬、子猫が展示されていたはずです。
ほとんどのショーケースがそうだと思いますが、背面はガラスではなく板張りになっているのでその裏を見ることは出来ないと思います。

僕の働いていたペットショップではそのショーケースの裏手に幅1mぐらいの通路を確保し、そこに商品となる子犬達がストックされていました。

そこら辺にあるような段ボールに入れられて…。
天井部分だけは空いた状態で、2~3段にバランス良く積まれていました。
だからストックされた商品に子猫を見たことはありません。
天井部分が空いていたら、逃げられちゃいますからね。

もちろん子犬も出たそうに飛びついてきますが、猫のように簡単に出ることは出来ません。
その子達は人目に触れることもなく、可愛がられることなく、ただただ朝、昼、晩(又は朝、晩)の食事をもらい、排泄物で汚れた新聞紙やペーパーを取り替えてもらうだけでした。

そして、ショーケースに入った商品が売れるまで、そこでそのまま過ごしていたのです。
たまにショーケースに入った商品とチェンジされることもありますが、ほとんどがそういった生活をしていました。

バランス良く段ボールが積まれているだけなので、崩れ落ちたことだってあります。

前回の記事の中で『ショップで購入した犬の方が問題行動が起こりやすいと統計的に出ている』と書きましたが、少し考えてみれば統計を取らなくても分かるようなことでしょう。

早くから親兄弟と引き離され、他の商品が売れるまでは人との関わりなどほとんど無く、排泄をしてもすぐに片付けてもらえず、狭い場所で過ごす。
他の商品が売れたと思ったら、ガラスのショーケースの中で自由に動けず、人目にさらされ、お客さんの都合で起こされ、抱っこされる。
お店が閉まるまで、目の前をお客さんが通ったり、『かわいい!』などと騒がれ…。
夜になると真っ暗な部屋で誰もいなくなり、排泄をしても片付けてもらえない。

そんな生活を幼少期に強いられてしまったのであれば、問題行動が起こりやすい犬になるのは仕方がないでしょう。
散々ニュースなどでも耳にしますが、人間だって幼少期の生活が人格に影響を及ぼすことが多々あるわけですから。

だが、問題を起こすのは幼少期ではありません。
青年、もしくは成人してからがほとんどではないでしょうか。
犬だって同じなのです。
ペットショップで購入を考えているのであれば、そういったリスクも考えなければなりません。