動物病院の選び方 part 2

明けましておめでとうございます。
今年一発目は前回の続きをば。

避妊手術をするにあたって動物病院を選んでいたわけだが、前回書いたような家から近い事や料金面のことなどは避妊手術の時だけではなく、動物病院を選ぶ時の大切な条件となる。

しかし、他に挙げた条件は避妊手術が大きく関係してくる。
それが三つ目の早期不妊手術(うちの子は手術の時、3か月半ぐらい)を行っているか。
四つ目の当日退院可能かといった条件だ。

この早期不妊手術の早期とは、生後6週齢から16週齢ぐらいの間の手術を指す。
1ヶ月半~4ヶ月ぐらいの間だ。
まだまだ日本では一般的に行われていないだろう。
それを裏付けるものとして数十軒の動物病院に電話したうち、早期不妊手術をおこなっているところは一つしかなかった。

ちなみにそこ以外の病院の返答は全て同じで『生後半年ほど経過してから』というものである。
何故、今回僕が早期不妊手術が出来るところを条件として入れているかというと、『不妊手術をいつ行うか』という議題については新しい情報であること。
また、そのメリットとして手術時間も短く手術もしやすく(早期不妊手術の経験者であれば)、出血量も少なく済むということが挙げられている。
また、肉体的回復も早く、手術直後でも何事もなかったかのような精神面の回復の速さなども挙げられている。

僕自身この早期不妊手術をうちの犬で行うのは初めてのことだったので、このように挙げられているメリットが正しいものなのかを知りたいということもあった。
また、先ほども書いたように新しい情報を常に取り入れようとしている先生のところでお願いしたいと思ったことも、この条件を入れた一つの理由である。

僕がこの早期不妊手術を知ったのは、アメリカの現場で働く日本人獣医師のレポートを読んだことがきっかけである。
その方のレポートの一節にこのような内容が書かれている。

むかしむかし、不妊手術は初回の発情が来てから、すなわち生後10ヶ月ぐらいに行われていたそうな。
1980年代になると、初回の発情前に手術をすることで、将来敵に乳腺腫瘍が発生する確率を減らすことができると医学的に証明され、麻酔技術が発達したこともあり、生後6ヶ月ぐらいに手術を行うのが良いとされるようになった。
そして、1990年代を過ぎると先ほど挙げたようなメリット等から早期不妊手術が広まっていったという。
もちろん早期不妊手術を行う上での安全性も臨床統計データによって証明されている。

それでもまだ、『生後半年ほど経過してから』と唱え続けるのは少しばかり情報が遅れているのではないだろうか。
このようなことは獣医学だけではなく、僕たち(トレーナー)行動学の分野でも同じようなことが言える。
昔使われていた方法を使い続けたり、昔言われていた理論などをいつまでも唱え続けていたのでは時代遅れである。
そのような理由からも常に新しい情報を取り入れている病院を選びたい。
もちろん、その新しい情報を正しく使えるよう、トレーニングを受けていたり、経験を持っていることが大切だが。

さて、この早期不妊手術を行っているかという条件で、動物病院は決まった。
後は、当日退院が出来るか。
何故、当日退院をさせたいかというと、単純な理由でしかない。
麻酔をして、手術をした上にエリザベスカラーを着用させてケージに入れっぱなしにして欲しくないからである。
どれだけのストレスが犬にかかるか想像も出来ない。
犬だって飼い主と一緒にいたほうが安心なのだから。

しかし、多くの病院では避妊手術後、一泊入院をさせる。
それは手術後一日が経過するぐらいの間は安全を確認したいということだろう。
今回電話した病院も一泊入院させるところがほとんどだったが、手術後の様子によっては当日退院でも構わない、又は相談に乗るという病院は幾つかあった。
確かに容態が急変してしまうケースがない…ということはないのだろうが、健康体の犬が、無事に手術を終え、麻酔からもしっかり目が覚めていれば、問題になることは極めて少ないだろう。
そうであれば、それこそ術後には、少しでも安心できるような環境で過ごさせてあげたい。

それが、当日退院を条件に入れた理由である。
先ほど、早期不妊手術を行っている病院は一つだけあったわけだが、そこはもちろん当日退院も可能であった。
それもそのはず。
メリットとして挙げた中に、手術もしやすく、出血量も少なく、肉体的、精神的にも回復が早いとある。
そうであれば、一泊入院させる必要はそこまでないだろう。

こうして、無事病院が決まり、手術が終了した。