『ストレス』や『興奮』といった言葉、問題行動の原因としてこれらの言葉が
使われることが多いんだけど、実はこの言葉ってとっても便利なんですよ。
だって、肯定も否定もしづらいでしょ。
それよりも『そうかも…』って思える。
例えばですよ、
質問:『留守番が多くてイライラしているのか、私たち家族に対して唸ったり、
噛みついたりしてくるんです…』
答え:『留守番が長いと、どうしたってストレスが溜まります。体力が発散されて
いなかったりすることで、ストレスレベルが高くなり、それが興奮に繋がる
ので、そのような行動に出てしまうこともあります。』
もっともらしくありませんか?
他にも、
質問:『外に散歩に行くと、犬を見るたびに吠えたり、ガウガウと言いながら
向かって行こうとしてしまうんです…』
答え:『犬に対して恐怖が強いようですね。犬と出会うことでストレスを感じ
興奮してくるのでしょう。それが吠えたりガウガウする引き金になって
いますね。』
他に、
質問:『散歩中、何でもかんでも拾い食いしようとするんです』
答え:『ストレスですね…』
質問:『甘噛みがひどいんです…』
答え:『ストレスですね…興奮してますね…』
質問:『散歩中、引っ張りが凄いんです…』
答え:『ストレスですね…』
質問:『リードを噛むんです…』
答え:『興奮してますね…』
ってな具合に、全てを『ストレス』や『興奮』といった言葉で片付けようと思えば
片付けられるってわけ。
もちろん、そこにもう少し具体的な色づけがされますよ。
確かに私もトレーナーとして仕事をしとりますし、これは『ストレス』が大きな
要因となってるな~って思うことはありますとも。
そして実際に行動学的な面から見ても、『ストレス』から起こるとされる
問題行動だってあります。
でも、全ての問題行動の原因はストレスだ!ってな感じはねぇ…。
実際に『ストレス』という物体が存在し、それが犬の中に蓄積されていく様が
見れたら分かるんですけどね。
そしたら、犬を見て『やべー、あいつ今ストレスめっちゃ溜まってるわ。
イライラしてそうだから攻撃されるかも…』って考えても良いかと思うんです
けど、実際は分かりませんからねぇ。
犬もストレスなんて分からんでしょう。
『あ~、俺、今めっちゃストレス溜まってるわ~。なんとかしてくれないと、
飼い主噛んじゃうわ~』って考えんでしょ。
それだけ、『ストレス』や『興奮』ってものは目に見えない曖昧な物なんす。
かと言って、もちろんバカにも出来ないけど、全てをストレスのせいにして
あ~、ストレス解消してあげないと…って考えなくてもいんじゃないかな。
確かに、思い浮かぶだけのストレスを解消してあげたことで、だいぶ問題と
していた行動が良くなったっていうケースもありますよ。
でも、それって『ストレス』が無くなっただけの問題じゃないんじゃないかな。
そのように、ストレスを解消してあげようって考えや行動が犬に対しての
向き合う時間であったり、飼い主の行動を変え、それがうまく犬の問題行動に
作用したりってのもあるんじゃないかな。
要するに、出来るだけストレスのない暮らしはさせてあげたいと思うけど、
無理なときだって、あると思うんですよ。
例えば、犬の留守番時間が長いとストレスになりますよ。
でも、仕事の都合で留守番させるケースって世の中ではめっちゃ多いんです。
そのストレスを無くして下さいと言ったところで、出来ない方だっていると
思うんですよ。
じゃあ、シッターとかようちえんとか使いましょうよ!と言ったところで、
決して安いもんじゃないですからね。
もちろん、そこに余裕があるのなら、そのような選択肢は選んであげて
欲しいと思うけど。
じゃあ、犬は飼わない方が良い!と言ったところで、もう飼ってますもん。
って、考えていったら、無理な時だってあると思うんですよ。
もちろん、ストレスが多大な原因となっているケースであれば、出来る範囲で
どうにかしないといけませんよ。
でも、ストレスを取り除くといった方法以外にもしつけやトレーニングによる
対応策はありますから、組み合わせてやっていくのも良いんじゃないですかね!