ペットショップの売り文句にご用心! 自分が耳にしたこと

前回、前々回と生体の売り文句について書いてきたわけですが、今回は実際に僕がペットショップで耳にした内容を書いてみよう。

今回取り上げてみようと思う話は2つ。
『お散歩はしなくても大丈夫です!』
『ご飯は一日に二回で大丈夫です!』
これは、耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。

結論からいくと、『まったく大丈夫ではない。』
犬のことなぞ全く考えていない言葉だ。
これこそ売る事しか考えていない、売り文句だと思う。

何故、そう思うのか。
どちらにも共通するが、飼い主の面倒や手間をはぶく意図がある。
『大丈夫です!』の後に続くであろう言葉を書いてみよう。

『お散歩はしなくても大丈夫ですから、余計に時間を取る必要はありませんよ!』
『ご飯は一日に二回で大丈夫ですから、お昼はお家に置いてても大丈夫ですよ!』
という意図にしか捉えられない。

更に、その後に言葉を続けるとこんな感じだろう。
『こうやって出会ったのも運命でしょうから、お家に連れてってあげてください!』

…。

もう一度言おう。
『大丈夫ではない』
犬を飼うということは、面倒もかかるし、手間もかかる。
それ以上に得るものが大きいとしても、必ず現時点より時間を取らなければならない。

それなのに、そんなことはないと言って、生体を売ることで不幸な犬がどれだけ増えてしまうことだろう。
前回、前々回と書いているが、何も知らない飼い主さんはこういう言葉を信用してしまう。
犬に関するプロではなく、販売のプロの言葉を…。

その結果、散歩に連れて行ってもらえず、刺激に弱い犬になってしまう可能性がグンと上がる。
そうすると、臆病さが増したり、ちょっとしたことに過敏に反応するかもしれない。
ということは、様々な刺激に慣れた犬に比べ、不安やストレスを感じる機会が増えるというわけだ。
また、散歩に連れて行ってもらえないことでストレスを抱えることだって多々ある。
先ほどの言葉を信用してしまうことが、犬にとって可愛そうなことだとすぐに分かることだろう。

また、食事の面では1日2回という話を鵜呑みにしてしまい、子犬の頃から留守番の長い生活をさせられてしまう可能性だってある。
まだまだ消化力の弱い子犬に対して、1日2回の食事では消化が追い付かず、胃や腸に負担をかけてしまう可能性だって十分にある。

こういった内容が、これから犬を迎えようと考えている方々の目に止まってくれることを願って…

 

 

ブリーダーの売り文句に用心! 親兄弟と早くに引き離します?

またまた、こんなことがあった。
今回はブリーダーの発言だ。

これまたビックリする内容で言葉を失う。
『うちではもらわれた後、留守番など一人になることに慣らしておく為に、早いうちに親兄弟と引き離しておくんですよ!』

…。
こりゃ、やべー…。
とてもじゃないが、ブリーダーの発言じゃない。

ツッコみどころが多すぎる。
まず第一に、もらわれてすぐに、産まれたばかりの子犬に留守番させることが前提ですかい?
むしろ、何故そのような家庭に自分が繁殖した大切な子犬を譲れるんですかい?

第二に、早いうちに親兄弟と引き離すことで、その子犬がどれだけ不安で寂しい気持ちになるのか分かってますかね?
また、親兄妹と一緒に過ごすことで噛みつきの抑制や社会的関わりあいを覚えていくことを分かってますかね?
また、兄妹たちと遊ぶ中で、前足をかけたりぶつかったりと繰り返すことでそういった刺激に対する耐性を身に付けていくことを分かってますかね?

まあ、分かっていない結果がこういうことなのだろう。

そして、この発言を飼い主さんが鵜呑みにしてしまうということが大きな問題だ。
特に初めて犬を飼う方なら尚更。
今回カウンセリングに来られた方も、そういった説明を受けたことで、『もらっていった後のことも考えて、そこまでやってくれているんだ!』と関心したのだそう。
そりゃ、そうだ。一般の飼い主さん(特に初めて犬を飼う方)は犬の習性など分からないのだから。

全くもって恐ろしいことである。

前回はペットショップでの売り文句について書いた。
その中で、ペットショップの店員は販売のプロであって犬の習性や行動学、しつけのプロではないと。

今回問題なのはブリーダーなのにというとこだ。
ブリーダーはペットショップ同様、販売も仕事ではあるが繁殖のプロでなければならない。
ということは、行動学やしつけについて深く知らなくても、先ほど書いたような子犬の習性(親兄弟と過ごす事の大切な理由など)は知ってなければならない。

そして子犬は留守番させる生き物ではないということも。
あなたは生まれて数か月の我が子を何時間も留守番させますか?と聞かれたら、皆さんはどう答えるだろう。
きっと答えが頭に浮かんだはずだ。

その答えが『NO』であることを望んでいる。
そして、そういった事を当たり前に思っているのがプロのブリーダーだと思う。
ブリーダーの発言もしっかり吟味しなければ。

 

 

ペットショップの売り文句に用心! 社会性のある子犬?

はぁ?

と、ついつい言いたくなってしまった瞬間。
ようちえんのカウンセリングをしていた時のことだ。
カウンセリングを受けられていたお客さんの一言ではあるが、元をたどればペットショップ(生体販売)の店員の一言である。

カウンセリングの時には、その子犬の月齢や飼い始めてからの日数、どこから迎えられたのかなど細かく聞いていくのだが、そういった話をしている中で出てきた一言。

『社会性のある子犬を選んでもらったんです。』

ん?
社会性のある子犬?
子犬?
子犬なのに社会性?
社会性を身に付けていくのはこれからじゃね!?

なんてことを思いながら話を聞いていたわけです。
もちろん、生まれながら持ち合わせている気質(臆病や活発などの)に違いはあるが、そこで社会性が決まりはしない。

ちなみに一連の流れはこんな感じだったみたい。

とある犬種を探していると、店員に話す。
そしたら店員が『とても社会性のある子がいます』と言って、裏のほうからその犬を連れてくる。
続けざまに『この子は社会性があって犬の世界の事をよく知っているので、いろんな子と仲良くなれると思いますよ!』と2~3ヶ月ほどの子犬を抱きながら言ってきたのだそう。
それなら!と購入を決めたという…

おいおい!
待ちんしゃい!
犬の世界を知っていくのは、まだまだこれからや!
それよりも今までの期間、ちゃんと親兄弟と過ごしてきたんかい!

ってなことを一人心の中でツッコんでみた。
直接聞いたわけではないから、勘違いであれば良いが。
しかし、ペットショップ(生体販売の現場)ではそういった一言をよく耳にする。
そういった一言というのは、犬の習性や行動学などを学んでもいないのに軽はずみに発してしまう、しつけに関する一言。
僕も十数年前にペットショップで働いていたことがあるから分かる。

要するにペットショップで生体を販売している多くの人は、犬の習性や行動学のプロではない。
販売のプロであって、しつけのプロではないのだ。
むしろ、犬の習性や行動学をしっかり学んできたのであれば、ペットショップで生体を販売するという仕事を選ばないのではないだろうか。
何故なら、ペットショップで販売されるまでの経緯やそのペットショップで売られることでのリスクを知るからである。

そういったことからペットショップで生体を購入することには反対なのだが、それでもペットショップで購入するのであれば、店員の売り文句には注意して欲しい。