僕の働いていたペットショップ事情 3

ガラスのショーケースに入った商品達。
その裏で、実はショーケースにすら入っていない商品があることをご存知ですか。

すぐに想像つくと思いますが、ショーケースの商品が売れたらすぐに補充できるように商品をストックしておくわけです。
ただ、これに関しては全てのペットショップがそういうわけではありません。
商品が売れてから新しい商品を仕入れるペットショップもあります。

前者は本当に最悪です。
僕の働いていたペットショップはまさにそうで、それにはさすがに不信感を抱いたのを覚えています。

ショップに入るとすぐ右手にショーケースが並んでいるお店でした。
3段6列ぐらいのショーケースでしたから20頭ぐらいの子犬、子猫が展示されていたはずです。
ほとんどのショーケースがそうだと思いますが、背面はガラスではなく板張りになっているのでその裏を見ることは出来ないと思います。

僕の働いていたペットショップではそのショーケースの裏手に幅1mぐらいの通路を確保し、そこに商品となる子犬達がストックされていました。

そこら辺にあるような段ボールに入れられて…。
天井部分だけは空いた状態で、2~3段にバランス良く積まれていました。
だからストックされた商品に子猫を見たことはありません。
天井部分が空いていたら、逃げられちゃいますからね。

もちろん子犬も出たそうに飛びついてきますが、猫のように簡単に出ることは出来ません。
その子達は人目に触れることもなく、可愛がられることなく、ただただ朝、昼、晩(又は朝、晩)の食事をもらい、排泄物で汚れた新聞紙やペーパーを取り替えてもらうだけでした。

そして、ショーケースに入った商品が売れるまで、そこでそのまま過ごしていたのです。
たまにショーケースに入った商品とチェンジされることもありますが、ほとんどがそういった生活をしていました。

バランス良く段ボールが積まれているだけなので、崩れ落ちたことだってあります。

前回の記事の中で『ショップで購入した犬の方が問題行動が起こりやすいと統計的に出ている』と書きましたが、少し考えてみれば統計を取らなくても分かるようなことでしょう。

早くから親兄弟と引き離され、他の商品が売れるまでは人との関わりなどほとんど無く、排泄をしてもすぐに片付けてもらえず、狭い場所で過ごす。
他の商品が売れたと思ったら、ガラスのショーケースの中で自由に動けず、人目にさらされ、お客さんの都合で起こされ、抱っこされる。
お店が閉まるまで、目の前をお客さんが通ったり、『かわいい!』などと騒がれ…。
夜になると真っ暗な部屋で誰もいなくなり、排泄をしても片付けてもらえない。

そんな生活を幼少期に強いられてしまったのであれば、問題行動が起こりやすい犬になるのは仕方がないでしょう。
散々ニュースなどでも耳にしますが、人間だって幼少期の生活が人格に影響を及ぼすことが多々あるわけですから。

だが、問題を起こすのは幼少期ではありません。
青年、もしくは成人してからがほとんどではないでしょうか。
犬だって同じなのです。
ペットショップで購入を考えているのであれば、そういったリスクも考えなければなりません。

 

 

僕の働いていたペットショップ事情 2

まだまだ続く!僕の働いていたペットショップ事情。

前回の記事でペットショップに生体がどういったルートで入ってくるのかなんとなくわかったかしら?
もう一回言っておくと、ペットショップで働いていた当時の僕は、そーいうものなのだろう…と思っていたし、また競り市やパピーミルを見たことがなかったのでその流通の粗悪ぶりを分かっていなかった。

ではそのような流通で入ってきた子犬を、僕がどのようにして迎えていたかという話を…

朝、ショップに出勤したら子犬達が段ボール(持ち運び用の取っ手付き)の中に入った状態で店内に並んでいるのです。
社長が競り市に行って仕入れをし、夜戻ってきたらそのままの状態で自分のペットショップの店内に置いているのです。

そして朝出勤した僕たちスタッフが子犬を取り出し、排泄物を片付け、身体をキレイにして、ガラスのショーケースに入れるのです。
そして、商品となるのです。

もちろん朝の仕事はそれだけではありません。
既に商品となってガラスのショーケースに入っている子犬達のお世話だってあります。

子犬である以上、おしっこやウンチを我慢出来るわけありません。
朝出勤したら、ショーケースのあちこちにおしっこやウンチが落ちています。
それらを避けている子もいますが、踏み荒らしている子もいますし、食フンしている子もいます。

こういった育ち方をしていく中で、自分の体をキレイに保つ習性が失われたり、食フンする癖がついていくこともあるのです。
そうしてお家に来た頃には、悪習慣となっておりトイレトレーニングに苦戦することだってあるのです。

ショップによっては、身体を汚さないように裂いた新聞紙やティッシュのようなペーパーを入れておくのですが、それは犬が身体をキレイにする習性を保てるようにするわけではなく、ショップ側が手入れを楽にするためです。
手入れを楽にすることは悪い事ではありませんが、そういった状態だとペーパーを食べている子が多く見られるのも実際のところです。

結局のところどちらがいいという話ではないのです。
狭いショーケースに入って、『商品』として扱われていることに今の僕は疑問を感じます。

それは、僕がペットショップで働いていた10数年前と比べ、生体の流通が明らかになってきたことや、動物先進国である欧米の犬情報が増えてきたこと。
また、ショップで購入した犬の方が問題行動が起こりやすいと統計的に出ていることなど様々な理由があります。

そういったことに早くペットショップも気付かないかな…。
いや…。
気付いているだろうから、早く行動起こさないかな…。

まだまだ書きたいことがあります。
次回もこんな調子で。

 

 

僕の働いていたペットショップ事情

ここまで、いくつかペットショップの売り文句ってやつを書いてきたわけですが、今回はペットショップの内情を書いてみよう。

第一回目の『ペットショップの売り文句にご注意』の記事の中でも書いているが、以前僕はペットショップで働き、生体を販売していた過去がある。
もう、10年以上も前になるが…。
一応断っておくが、そのペットショップでの経験がもとになっているのでご理解を。

あまり公にしたくないが、ペットショップで働いている時こんなことを言ったことがある。
僕が今だにとても鮮明に覚えている言葉…

ある犬種のオスを探しに来たお客さんがいたのだが、そのペットショップにはその犬種のメスしかいなかった場合。

『オス犬を探してるんですか!?オスだともう少ししたらマーキングが始まりますし、おしっこは足をあげてするからおしっこが飛び跳ねちゃいますよ。それに将来的に前立腺の病気にかかる可能性も高いからメスの方がいいんじゃないですか!?』

逆にメスを探しに来たのに、オスしかいなかった場合。

『えっ!?メスは大変ですよ。生理がきたら出血があるから面倒ですし、何より子宮の病気も心配ですからね。その点、オスは生理がないので飼いやすいですよ!』

こういった売り文句は昔から蔓延していたのだ。
そうやって在庫を抱えないようにし、売り上げをあげていくのだから。
そんなことを言っていた自分に嫌気がさすが…

ただ、その当時はペットショップで生体を買うことが当たり前過ぎて、生体を販売していることに全く違和感はなかったし、またそこの店ではそういったことを言いながら販売していたのでそういうものだと思っていた。

今でこそ、『パピーミル』という言葉や『犬の競り市』といった言葉も耳にすることが増え、ペットショップに生体がどういったルートで入ってくるのかも知られるようになってきた。
ただ、僕が働いていた10年以上前にはそういった情報は一般的ではなかった。
知っている人はほとんどいなかっただろう。

ペットショップで働いていた僕でさえ、当時『パピーミル』の存在は知らなかったのだから。
犬をどこから仕入れているのかを当時店長に訪ねた時『競り市場があるんだよ』といった返答から『犬の競り市』のことを知ったのは今でもよく覚えている。
そういった話の中で、そういう場所に入るには特定の会員にならなければならないことなども分かった。

当時働いていたショップの店長からそのうち連れてってやると言われていたが、行くことなく終わった。
あまり長く働かなかったから(笑)

ここまででだいぶ長くなってしまったが、ペットショップ事情に関する記事はもう少し書いていきたいので次回にも続けよう。