犬の専門職 2

前回書いたように同じ『犬』のプロであっても、トレーナーやトリマー、獣医師、ブリーダーによって役割は違う。

よって、それぞれの専門分野以外のことを軽はずみに口にしてはいけない。
それによって飼い主さんが困惑したり、犬が不幸になる可能性があるのだから。

とはいっても飼い主さんは身近なところにアドバイスを求めてしまう。
それぞれの専門分野があることを知らないからだ。
身近なところというと自分の犬を迎え入れた先(ペットショップ、ブリーダー)であったり、迎え入れてからほどなくして行くことになる病院(ワクチンなどの関係から)ではないだろうか。

しつけや飼い方に関する相談も多いだろうに…。
是非、そういったことはトレーナーに相談して欲しい。

が…
そのトレーナーが身近にいないことも問題。
ペットショップや病院などの犬を迎え入れたら行くような場所にトレーナーがいるのであれば、そこで相談することが出来るのだが、そういった場所に専属のトレーナーがいなければなかなか難しい。

でも、今ではネットも普及し、ご自宅の近くで活動しているドッグトレーナーを探すことは容易に出来る。
是非、しつけや飼い方などの相談はトレーナーにして欲しいと思う。

では、どういった質問や相談で『犬』のプロを区別すれば良いのか。
簡単に書いてみよう。

病気のことに関しては絶対的に獣医師。

例えば他分野の方(ここではトレーナーやトリマー)も少なからず、病気に関しての知識は持っていることが多い。自分の愛犬がその症状に罹患したのであれば尚更。
ただ、その時の症状がすべての犬に共通するかといえばそうではない。
やはり獣医師に診てもらって、診断してもらうのが確実だろう。

しつけ方や飼い方、トレーニングに役立つ道具などについてはトレーナー。
もちろんトレーナーによっても考え方はまちまちだが、他分野の方たちに聞くよりは良いアドバイスをいただけることだろう。

保定の仕方や爪切りの仕方、耳掃除の仕方などはトリマー。
これはトリマーがだんとつにうまい。
スピードが全然違う。
爪切りや耳掃除などお手入れを好む犬はいない。
であれば、いかに早く終わりにしてあげられるかが大切だ。

その犬種の先天性疾患や特性については、その犬種を育てるブリーダー。
それを理解してブリーディングしているはずだろう。そう願う…。
また、その犬種に特化してブリーディングしていれば、その犬種を見てきた頭数は他分野の方と比べて別格だろう。

かなり簡単に書いたが、こういったように同じ『犬』のプロであっても専門分野は違う。
質問や相談の内容によって、区別出来ると良いだろう。

 

 

犬の専門職 1

ここまで、自分が働いたペットショップ事情や飼い主様がペットショップの店員に言われたことなど数回に渡って書いてきたわけですが。
このようなことは巷には溢れているわけです。

それもこれも、専門外のことを軽はずみに口にするからではないだろうか。
以前も書いたようにペットショップの生体販売員は『犬』のプロではない。
(以前のブログは下記から)
http://ameblo.jp/minakuru-1/entry-12019096170.html

犬のプロではない…要するに専門職でもないのに、犬の飼い方について軽はずみなことを口にしたり、犬の問題行動について不適切なアドバイスをする。
だから問題が起こる。

では、犬の専門職ってどんな人たち?

一般の飼い主さんが一番最初に思い浮かべるのは獣医かな?
そして、トリマーやドッグトレーナー、ブリーダーなどだろう。
他にも幾つかあるのだが、今回は置いておく。

さて、上に挙げた方達は『犬』の専門職と言っていいだろう。
だが、更に細分化されている。
例えば獣医は獣医学の専門職。
トレーナーは行動学の専門職といった具合に。

なので大抵の場合、獣医からすれば行動学は専門外だし、トレーナーからすれば美容などは専門外になる。
それなのに、ここでも専門外のことを軽はずみに口にしてしまうことがある。

今回これを書いたのはここにつなげたかったから。
先日、新しいワンちゃんがようちえんに入園してくれた。
そのワンちゃんはボーダーコリー。

まあ、素人向きではない犬です(笑)
先ほど上に挙げた『犬』の専門職の方達も、素人向きではないということには同じ意見じゃないかな。

飼い主さんが、そのボーダーコリーを病院に連れて行った時に獣医に言われたという一言に度肝をぬかれた。
『鼻を思いっきり噛んで服従させなさい』

…。
多分その獣医もボーダーコリーは大変だと思ったのだろう。
だけど、このアドバイスはトレーナーの観点からすると考えられない。
一昔前であれば受け入れられたのかもしれないが、今ではありえない。
関係を悪化させる可能性を十分に秘めたアドバイスだ。

やはり専門外のことを軽はずみに口にしてはいけない。
こういったことは犬の世界だけじゃないんだろうけど。

 

 

僕の働いていたペットショップ事情 4

驚くことはまだあります。
これもペットショップで売られていた、子犬や子猫に関係することです。

犬を飼われている方は子犬に混合ワクチンを打つことはご存じでしょう。
この混合ワクチンですが生後1ヶ月毎に2回もしくは3回程接種します。

病院によって2回と言うところ、または3回と言うところ…
成犬になってからは1年に1回というところ、またそうではないところ…
ワクチンにも諸説いろいろありますが書きだすと止まらなくなってしまいそうなので、それについてはここでは触れずに…。

さて、このワクチンですが獣医さんに打ってもらうのが一般的だと思います。
当時ペットショップで働き始めた僕も、そう思っていました。

しかし僕の働いていたペットショップでは店長(オーナー)がワクチンを打っていたのです。
ちなみに獣医師免許は持っていません。
ただ、これも当たり前におこなわれていたもので、当時の僕は『あっ、別に店長がワクチン打ってもいいんだー』ぐらいにしか思っていませんでした。

その当時は周りのペットショップでもそういった話を聞いたことがあります。
また、その店長が修行していたというペットショップでもそれが当たり前におこなわれていたようです。
だからこそ、店長はそれを自分の店でもおこなっていたのでしょうし、ワクチンの入手の仕方も知っていたのでしょう。

そして、僕の中ではそれが当然のことに…。

日々、動物愛護に関する法律や獣医師法、薬事法なども改正されていきます。

しばらく経って、獣医師でなければワクチンは打ってはいけないという話を小耳にはさみ、法律が変わったのかな?ぐらいに思っていました。
それまで、店長が打っていいものだと思っていましたから。

今回こういった記事を書くにあたって、いろいろと調べたりもしました。

動物愛護のセンターに問い合わせをしたり、そういったワクチンなどの薬に関係してくる薬事課、薬務課などに問い合わせをしました。

僕の質問はこんな感じです。
『以前ペットショップで働いていたとき、そこのオーナーが販売犬にワクチンを自ら打っていたんですけど、いつから獣医師が打たないとダメになったんですか?』

そしたら、こんな回答です。
『それはずっと以前からダメなことです。獣医師法で制定されています。』

驚きました。
自分が目の当たりにしていたことが違法なことでしたから。

厳密にいうと、ワクチンだけでなく注射器を使って飼い犬以外に注射をするのが違法だということでした。
飼い犬に注射する場合でも獣医師の指示のもと、許可を得てから打つ必要があるとのことです。
まあ、そんなケースは一般的に多くはないでしょうが。
そして、ペットショップで販売している犬は店長(オーナー)の飼い犬には当たらないということでした。
なので、獣医師でもない店長が自ら販売している子犬達にワクチンを打つというのは違法だったのです。

一部のペットショップではこんな恐ろしい事を日常的に行っていたのだと、この記事を書きながら感じています。